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犬猫の便秘
犬猫の便秘

気候が変わり、体調を崩される方が多いと聞きます。風邪だけではなく胃腸症状が見られるケースもあるそうですので、皆様どうぞお体をご自愛下さい。

最近ジャンボどうぶつ病院に良く来院されるのが、便秘の症例です。

便秘の定義ですが、人間では排便の回数が減ることとされているようで、排便の回数は人によっていろいろなので、1日 2~3回の人から2~3日に1回位の幅に広がっています。

この幅からはずれている場合は一応異常かもしれないと考えますが、1日3~4回でもあるいは3~4日 に1回でもそれが長年の排便習慣で、全く苦痛がなければ便秘と考えなくてもよいでしょう。 しかし、便秘薬を使わないと出ないとか、2日に1度でも腹がはって苦しくなるなどという場合は便秘として治療した方がよいでしょう。 とされています。

犬猫の便秘はこんな症状に注意
犬猫の便秘はこんな症状に注意

では犬猫の場合はどうでしょうか?

実は一週間ぐらい出ないケースもざらにあり、一日、二日程度出なくても何かしらの症状を伴わなければあまり心配する事もありません。

ただ、おしっこは二日出ないと尿毒症で命にかかわる事がありますので、こちらと一緒に考えない事が大切です。

症状を伴うかどうか、というのがとても大切なので、具体的なものをいくつか上げておきます。

  • 排便姿勢を取るがでる様子がない
  • 排便しようとしていきむ時に、大きく悲鳴にも聞こえる様な声で鳴く
  • お腹や背中を撫でると、嫌がって怒る事もある
  • 元気・食欲がなく、お水を飲む量も減る
  • ようやく出た便が硬く、大きい。血が付いていたりする。その後下痢になる事を繰り返す
  • 吐き気がある
  • 何度も排尿する

実際、膀胱炎かもしれません、といって頻尿を主訴でいらした方の猫ちゃんが、便秘のためにトイレにいっては尿しかでなくて…といった例や、あまりにも悲鳴を上げて鳴くので近所迷惑になって…というわんちゃんの例もありました。

犬猫の便秘の原因
犬猫の便秘の原因

原因は、大別すると環境的なものと病的なものに分けられます。

○環境的な要因

  • 慣れない環境(ホテルや入院、転居など)
  • 慣れないトイレ(新しいトイレや、猫砂の変更、トイレの位置の変更、散歩ルートの変更など)
  • 気候(季節の変化、冷暖房の影響)
  • 家族の変化(同居犬、猫がふえた、または減った、家族の増減があったなど)
  • 食事の変化(今まで食べていたフードの変更、おやつの変化、食事回数の変化など)
  • 慣れない食器・毛布・おもちゃ(今までとは違うものへ変更した場合)

○病的な要因

神経の障害
排便に関わる神経が何らかの原因で麻痺する事により発生するもの
  • 猫の特発性巨大結腸症
  • 変形性脊椎症
  • 椎間板ヘルニア等の末梢神経の損傷による、麻痺
  • 交通事故等による神経や筋肉の損傷 など
物理的な狭窄
便が通る道筋が狭くなったり塞がれたりするもの
  • 前立腺癌、直腸腫瘍、消化管型リンパ腫等の腫瘍により腸管が閉塞、狭窄を起こす
  • 生まれつき肛門が小さい
  • 会陰ヘルニアにより直腸憩室ができ、便がたまる
  • 交通事故などで骨盤が狭くなる
  • 異物(食べ物ではない、おもちゃなど)を飲み込んで閉塞 など
痛み
長く続いた下痢や免疫性の炎症疾患によって、肛門や腸粘膜が炎症を起こし、排便しようとすると痛むので、排便したがらない状況
  • 肛門周囲瘻(肛門の近くに穴が出来てしまう病気で、特異的にシェパードに発生する)
  • IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患)
  • 肛門腺膿瘍 等

他に、内分泌生の崩れからくるものや麻薬などのお薬によるものなどがありますが、これは非常に少ないケースです。

便の様子がいつもと違うときは病院へ
便の様子がいつもと違うときは病院へ

主に一番目に上げた環境ストレスによって発生するものが多く、こういった原因を取り除く事が必要になったり、精神的な事であれば、そちらを治療するケースもあります。

直接的な治療は

  1. (1)食事の変更
  2. (2)便を柔らかくするサプリメントの投与
  3. (3)投薬
  4. (4)浣腸と便のかき出しや点滴

などになりますが、その子の状況によって異なります。

浣腸は人間が思うよりも、動物に負担がかかるものですので、その子の状態によって行うかどうか判断します。

便の形状や回数、量などは飼い主さんしか気がつかない大切な指標ですので、何かおかしいな?と思ったら早めに受診されて下さい。

2015-10-31

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