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家族を守る冷静な判断
家族を守る冷静な判断

夏本番の暑さに、犬達の散歩の時間もh日早く、もしくは遅くなっていると思います。

実際、日中の陽射しの強さには「焦げるのでは?」と真剣に思わせるものがあります。

また紫外線の強さも相当で、日本人の虹彩は焦げ茶色でそれなりに日光には強いものの、これだけの強さになると流石に眼球が悲鳴を上げます。

日焼け止め単独、というよりは多少不格好でもアームカバーやUVカットの上着などで、頭部は帽子で、目にはサングラスを着用したほうが良いようです。

今年はこれにマスクが加わりますので、どうぞ水分補給と熱中症対策は十分されて下さいね。

hr

さて、世界的な新型コロナウイルスの流行はいまだ衰えを知らず、ウイルスの感染性が上がった変異型の発生なども確認されています。

同時にワクチンの開発が臨床試験段階まで進み、今年中には接種が開始されるようですね。抗体持続性がどれほどあるのか、要するにどのくらいの頻度で接種すべきなのか、というのも気になりますが、注目しているのは、ズーノーシス(人獣共通感染症)としての側面です。

そもそも新型コロナウイルスは動物から人へと感染していって生じた経緯があります。これはSARSなども同じです。

少し前からちらほらと、人から犬、猫、フェレット、トラなどの猛獣類などへの感染が報告され、東大のレポートで猫から猫への感染も確認されました。

人と異なり、動物達の症状は重篤化しづらい様ですが、詳しいことは分かっていません。

大きな問題となるのは、動物達から人への矢印で感染が成立することです。

狂犬病ウイルスのように、動物から人への感染が成立するとすれば、感染経路に人だけではなく動物達との関係も含まなければなりません。

マスクを着用していない人が電車内で浴びる視線のように、犬の散歩をしているだけで非難を浴びるようなことが起こる素地が現在の余裕がないニホンの状態を見ると懸念されます。

そういった何らかのレポートが出されれば、おそらくセンセーショナルに報じられ、不安を煽るような情報ばかりがひとり歩きしてしまう気がします。

もし新しい情報が出たとしても、皆さんにはなにより冷静な判断と行動をして頂きたいと思います。

全て、レポートの出された時点での情報でしかなく、その後追加の情報が出たり、内容自体が誤っていたりすることも十分あります。

それは当然のことで、このウイルスが新型であるということは、世界の誰も正確なこのウイルスの性状や性質を理解している人はいないのです。

いままであるウイルス達の性質に鑑み、様々な想定はできるものの、例えば百年後の未来に分かっているような情報は、今の時点では分かりません。

刺激的で強い言葉で情報を流されたとしても、それに飛びつくのではなく淡々とそういった事象もあるのだと思って頂きたいのです。

もし、動物との感染が相互に起こるというような内容が明らかになれば、どう考えても動物達の生活環境に大きく関係してきます。

煽り煽られ、短絡的な思考に陥って欲しくありません。

動物達が頼る相手は、飼い主さんだけであり、生殺与奪を握るのは飼い主さんなのです。

決してパニック思考になることなく、情報の元をきちんと辿り、信頼できる機関の発表した情報や科学的根拠に基づいた判断をしてください。

hr

また自粛期間に動物を飼う方が急増しましたが、これはリーマンショックの時などと同じ事象です。

その後面倒を見切れなくなったと捨てられる危険性もはらんでいます。

もちろん、ずっと飼うのをためらっていたけれど、この機会に人生を見直し、やはり動物達との生活をはじめたい!と満を持しての方もいらっしゃいますが、そうでない場合もあるのが悲しむべき所です。

十数年後、その子たちが年を経て天寿を全うするまで、大切な家族として生活していけることを願ってやみません。

動物達との出会いは、全て奇跡的なもので、まさに運命だと私は考えています。

全ての子達は、選ばれて飼い主さん達と出会いました。

お互いに幸せになるために出会ったけれど、何の努力もなくそうなる訳ではないのです。

たゆまぬ努力、とはよくいったもので、無理で過度な干渉は必要ありませんが、きちんとしたケアは必須です。

動物と暮らすというのは、種差を越えて一緒に生きていくというのは、少しの努力が必要なのです。

毎日ご飯をあげる、お水をこまめに取り替える、うんちやおしっこのお世話をマメにする、健康管理のために定期的にどうぶつ病院へ行く、ワクチンやノミマダニの予防などをちゃんと行う、言葉を話せない動物達の具合が悪くないかどうかに意識を配る、ブラッシングをする、適度なお散歩をする。

一つ一つは大したことではないですよね。でもそうだからこそ大切なことばかりです。

最も大切なのは、声をかけ、一緒に暮らしている家族として互いをいたわること。

言葉と種を越えて家族となった私たちは、時間軸も異なり、残念ながら見送る側になることが多いです。

いつか必ず来る未来、その時に後悔なんて絶対にします。

けれど、その後悔の分量が少しでも少なくいられるように、共に過ごせたその時間がかけがえなく素晴らしい思い出として多くをしめてくれるように、毎日を過ごして欲しいと思います。

2020-07-31

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