動物病院HOME < 院長のコラム < 意外に知らない?血液の話
秋も深まり長袖の上着が手放せなくなりました。
それでも日中は、日が照っていれば暖かく、軽く動くと汗ばむ陽気で、服装でのコントロールが難しいですね。
町を往く人の装いは秋色が目立つようになり、穏やかなワインレッドや、モスグリーン、焦げ茶色、臙脂色などなど、 目でも秋を楽しむ事ができます。
また食べ物も、栗、サツマイモ、南瓜など、秋の味覚は女性に好まれるものも多く、 秋限定のお菓子にその顔ぶれが並ぶ事で、ああ、秋だなあと感じる事もしばしば。 基本的に遠出はできない生活ですので、身近なところの秋を楽しんでおります。
さて今回は、血液検査について。
突然ですが、皆さんの血液は何色でしょうか?
いえ、別に紫や青が流れている、という比喩の話ではなく、(ちなみにカブトガニやイカ、タコの血液は青です) ご存知のように、赤です。
これは赤が血液中の血球成分のなかでもっとも多い赤血球の色だからです。
赤血球に含まれる、酸素を運搬するためのグロビンというタンパクには、ヘムという色素が結合しています。 (この結合体が、いわゆるヘモグロビンです。)
このヘムのなかの鉄が赤色を出していると考えられています。
タコやイカの場合は、ヘモシアニンという物質が、ヘモグロビンに変わり酸素の運搬を担当しているので、これにふくまれる色素が青いため、青い血が流れています。別に心が冷たい訳ではありません。
何故こんな話かというと、これはあくまで赤血球の色ですから、 血液を遠心分離機にかけると、血液に含まれる血球(細胞の成分)と血漿(液体の成分)に分かれますが、この血漿は透明なのです。
※遠心分離とは強い遠心力をかけることにより、その試料を構成する成分を分離する方法です。
血液検査をしましょう!という時は、五感を使った検査や体温やその他では分からない何かが原因かどうか、調べてみましょう!という事ですが、 ひとくちに血液検査といっても中身は大分異なります。
院内の場合、血液検査をする時は、大まかに分けて二種類の検査を行っています。
一つは全血球検査です。
文字通り、血球成分の比率やその数、含まれているヘモグロビンの量などを調べます。
もう一つは生化学検査です。
これは遠心分離にかけた血漿に含まれる様々な成分を調べ、肝臓や腎臓の状況を推測したり、タンパク質の量をはかったり、電解質(カリウムやナトリウムなど)のバランスを見たりします。
検査の結果、単独の項目が高い値を示して、それがすぐイコール異常になる場合と、 そうではなく、いくつかが同時に高い値を示す事で、初めてその異常と特定されるものもあります。
動物たちの体の状態を知ることができる血液検査ですが、分かる事はごくごく一部で、万全ではありません。
例えば、良く言われるのは、腎臓の働き方を示すとされているクレアチニンなどは、 腎臓全体の75%が破壊されて初めて、数値が上昇するものだったりします。
また院内で調べられない特殊なものは 、外の大きな検査センターに出すこともあります。
この場合は、結果をすぐにはお知らせできないため、数日お待ちいただく事もあります。
血液の色は? という質問は実は弟からされたもので、赤血球は赤いけど、血漿は透明でしょ?と答えた私に、 普通はね、血液は赤いって思ってるんだよ、と言われてしまいました。
それを聞いて、そうか、では血液検査をしましょうと言った時に、 血液のどこをどうやって調べているのかは、もっと分かり辛い事なのではと、今更のように気がつかされました。
今回のお話でなんとなくでも、血液検査って何をしているのか、という事が伝わればいいなあと思っています。
2014-10-31
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