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秋のアレルギー症状
秋のアレルギー症状

コラムの更新が遅くなりまして、大変申し訳ありません。

また、八月中は当院のHPに繋がりにくくなり、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。

教えて下さった飼い主様のおかげでつながらないことが分かったので本当に助かりました。

お知らせ頂いた皆様、ありがとうございました。

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さて、夏も終わり秋が始まったのを肌をなでる風のさわやかさから感じますね。

湿度が下がり、気温が下がったことで、大分日中も過ごしやすくなりました。

それに伴って秋の草花が一気に花開き、その勢いを高めています。

そう、ブタクサを中心としたアレルギーの原因である草が生い茂りはじめたのです。

それに伴い、夏の間安定していたアレルギー性皮膚炎の動物達が、同じく加速的その症状を強めてきました。

膿が出るほどの外耳炎や、目の周りを掻きむしってしまって眼球を傷つけてしまった子や、額の毛や背中の毛が血が出るほどかいて脱毛を起こしてしまった子など、同じ週にばたばたとやってきました。

飼い主さん達も、目がかゆかったり、鼻水が出たりと同じようにアレルギーが起きているご様子。

動物、人間、犬、猫、ハムスター種族も性別も関係なく同じタイミングで始まるのがアレルギーなので、まさにいま秋のアレルギー月間が始まったな、という手応えがあります。

これは個人的体感ですが、春のアレルギーよりも秋の方が症状がきつく出たり、少ない薬での反応がわるかったりします。

ですから症状が出たらなるべく早く、動物病院へ来院されて下さい。

症状を上手くコントロールするためには、早め早めの治療が必要になります。

投薬による病気のコントロール
投薬による病気のコントロール

話しは変わりますが、先日、耳介部の変形している猫ちゃんが慢性の外耳炎が治らないとのことで来院されました。

他の病院で、一年以上治療しているが治らない、という主訴でした。

耳孔のぞいて、なるほどと思いました。

その猫ちゃんは特殊な種類で、耳軟骨が発達しており、耳道がほとんど閉塞していたのです。

これでは耳道の中で代謝に伴って自然に剥がれ落ちる皮膚を振って出すこともできませんし、なかは熱と湿度がこもり、かゆみも出やすくなるでしょう。しかもそこを清潔に保つのがとても難しい、難易度の高いお耳だったのです。

飼い主さんの管理や飼育環境が悪いわけではなく、もって生まれた個体の形が問題なので、残念ながら治すというよりも、死ぬまでうまく付き合う、というタイプの病気でした。

綿棒一本もはいらないような、耳孔は黒い耳垢がこびりついていました。顕微鏡で見てみると、酵母様真菌のマラセチアと細菌感染性の外耳炎でした。さもありなん、雨の多い時節もあって耳内環境が悪化してしまったのでしょう、かゆみが強く出ていました。

そしてどうやら耳だけではなく、額の方まで痒みがある様子。目の回りや口の回りも赤くなっています。

ベースにはアレルギー性皮膚炎があるのかもしれません。

お聞きするといままで投薬で治療していたが、良化悪化を繰り返してしまう、また何度も繰り返し抗生剤を使い続けるのは抵抗がある、というお話でした。

これはなかなか難しい問題で、構造上の問題に起因する外耳炎ですから、普通の猫の耳になれるならこういうことは起きないわけです。生まれ持った耳の形、その個性がなくなることはなく、この子のお耳は外耳炎になりやすい形をしている、良化悪化は繰り返されることがこの先も予想される、とお話ししました。

しかも猫は犬と異なり点耳薬が使いづらい特徴があります。

菌や真菌の感染にたいしては投薬治療が必要になってしまうことが多いともお伝えしました。

そしてアレルギー性のものがベースにあるならば、これまた時期や季節によって症状はアップダウンを繰り返すので、そう診断が出た場合は、そちらのコントロールをすることで少しお耳の状態はよくなるかもしれません、というお話をしました。

どちらにせよ、治すことというよりは、コントロールしてつきあっていく、という疾患であることを説明すると、飼い主さんは大変残念がっておられました。

「なおせるものじゃないんですか…」

病気というと治療すれば治るイメージがありますが、治らずコントロールして付き合い続けるものはとても多いのです。

例えば心臓病のひとつ僧帽弁閉鎖不全は、僧帽弁という弁の形が変わり、うまく閉じられなくなる病気ですが、一度なれば二度ともとには戻りません。これを不可逆性変化といいます。

この場合、心臓がその役目を終えるまで、サポートするためのお薬を飲む必要があります。

例え自覚症状が改善されても、飲むことをやめれば更なる悪化を引き起こします。

アレルギーや発作、腎臓病など同じようにお薬を始めたらやめることができなかったり、継続したモニターや投薬、治療が必要になるものはたくさんあります。

そう診断されるととてもショックを受けるものですが、でも逆を返せば、そうやってうまく投薬を続けることで、病気をコントロールできる可能性が高いということです。

例えば今回の猫と同じように、短頭種の呼吸困難やスコティッシュの跛行など生まれつきの形が病気を引き起こすことも、動物たちの世界ではたくさんあります。

種特異性という言葉をこれほど感じることもないのが、獣医医療の切ないところです。

おうちに迎える際にはそういった特徴もよく理解した上で、その個性を大切にしつつ一生の面倒を見ていく必要があると思っていただけるといいな、と思います。

2021-09-10

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