動物病院HOME < 院長のコラム < 食事で皮膚炎が改善?!
今年は驚く程暖冬ですね。
ついこの間までは、雪が少ないために、ウインタースポーツの観光地が悲鳴を上げているとも聞きましたが、先日は帳尻を合わせるように各地で大雪が降り、日本の気候がこれからどうなっていくのだろうかと、少し不安すら感じます。
このまま温暖化が進めば、他人事ではなく、蚊の活動時間が増える事により、フィラリアの予防期間を見直したり、ノミやマダニの感染率があがったり、皮膚病の悪化する時期がずれたりする事も考えなければなりません。暑さに弱い動物達にとっては厳しい環境になるかもしれません。
大きな環境を一筆で塗り替える様な事は出来ないけれども、小さな事は出来るだけしていかないと、ゴミ分別に精を出す日々です。
じつは、アレルギー性皮膚炎を長く患っている子達に良い報告があります。 十二月から二月くらいまでは、全体的に皮膚の状態は保湿さえすれば割と良いのですが、それでもやはり何となく赤かったりかゆかったりする子は多いです。
アトピーやアレルギーの子達は治る病気ではありません、お付き合いをしていく病気です。
季節ごとに良くなったり悪くなったりがあるので、「治す」というよりも「上手く付き合っていく」という気持ちでいた方が、飼い主さんも楽な気持ちになります。
何が良い報告かというと、アレルゲン完全除去食を一ヶ月試したわんちゃんが、非常に良好な結果を得た、というお話です。
その子はジャンボどうぶつ病院にいらした時から、かゆみや湿疹を薬で治療し改善、薬がなくなるとまた悪化、を繰り返していたという子でした。
薬だけではなく、薬用のシャンプーの使用と化粧水、美容液を使って大分良くなったのものの、お薬を完全にストップする事が出来なかったのですが、今回新たなアプローチをという事で、完全除去食を試した所、明らかに痒みや紅斑が減り、薬をほとんどなくす事が出来ました。
あと使っているのはビタミン剤と常用しても差し支えのないお薬のみで、ステロイドと抗生剤をすっぱりやめる事が出来たのは、素晴らしい結果です。
これは私から見ても驚く程短時間で結果が出たので、ちょっと小躍りする程嬉しいニュースでした。
今までもそのご飯を使用しても改善が見込めなかった例もあったので、やはり今回のケースはこの子に合っていたのでしょうが、それにしても随分と相性が良かったです。
お薬や免疫治療、減感作治療法など色々な方法がある中で、食事のコントロールというのは、食べてくれさえすれば、副作用も無く、トータルで見ればコストも少ない治療法です。
皮膚病のアプローチは専門医の間でも様々な考え方があり、その子その子で求められる治療は異なります。毎回ほぼフルオーダーの治療法だなあと思います。基本路線はあっても、同じ治療で全ての子が良くなる訳ではないのです。
特に免疫などの自身の問題が関与する病気では、その傾向が強いと考えられます。 その子と、飼い主さんの生活スタイルにあった治療方法を模索する必要があるのです。
今回のように完全除去食を一ヶ月試す、その結果改善があればアレルゲン除去食を続行する、改善が認められなければ、アトピーとしての治療を中心に、皮膚バリア機能を高める治療を行う、というのは一つの方法です。
基本的にアトピーとアレルギーの併発の子がほとんどで、純粋にどちらかだけという事はあまり無いため、完全除去食を試す価値はあると思います。但しこの一ヶ月はこれしか食べてはいけないので、おやつもほかのご飯も食べる事は出来ません。
皮膚病のように一生付き合っていく病気は、悪くなると飼い主さんが、ああまた悪くなった、と心を痛めるケースが少なくありません。
確かに外傷や骨折の様に、治す事が完全に出来るタイプとは異なりますが、ともに付き合っていく、長いスパンで見る、悪くなる時も良い時もある、という事を念頭に置いて対処していくと、少しは気持ちが楽になります。
春になればまた痒みが出てきてしまう場合もありますが、それでも去年の春よりかゆくない状態が続けられますように。 そう願ってやみません。
2016-01-31
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