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高齢化と動物の寿命
高齢化と動物の寿命

梅雨の合間の晴れ間が、貴重な陽光を紫陽花にそそいでいます。

雨に濡れるのも風情のある花ですが、輝く陽射しの中でみる青や赤紫はまた見事なものです。

今年は水不足にはならなくて済むでしょうか?

日本は四季に恵まれ、おかげさまで水の豊かな国ですが、諸外国の様子を見ればそれがどれだけ貴重なことかがよく分かります。

肉体の七割は水分で構成されています。ファージやウイルスでもないかぎり、基本的に生きとし生きるものにとって必要不可欠なものですね。

例えば犬の場合、二週間食べなくても特殊な場合をのぞいて死んでしまうことはありませんが、二日水を飲まなければ死んでしまいます。

そう考えると梅雨の続く雨は恵みの季節。

洗濯物で嘆く前に雨音の美しさと水への感謝に思いを巡らせたいものです。

自分にもしものことがあったら、この子は…?
自分にもしものことがあったら、この子は…?

さて、最近少々悩むことがあります。

現在の日本は少子高齢化がとまらない状況にあります。よって必然的に飼い主さん達にも高齢化の波が影響を与えています。

動物達と長く一緒に暮らしていれば、当然、今後の生活に思いを巡らすことになります。

人の寿命は動物達と比較すれば明らかに長く、普通ならば飼っている動物達を先に看取ることになります。

けれど何かの不幸があって、先に自分が死んでしまったら?

残されたこの子はどうなるのだろうか?

そういった不安を漠然と抱える方が増えているのです。

また、亡くなりはしなくても、飼育するに足りない状況になってしまったら?

病気などで動物達の面倒をみてあげられなくなってしまったら?

そうなるのが怖いからもう動物は飼わない、といったお話もちらほらと聞きます。

とても切ない考え方だと思いますが、その気持ちもよく分かります。

猫の平均寿命が30歳に?!
猫の平均寿命が30歳に?!

またここへきて、猫の腎不全の特効薬の発売が当初よりも少し早く発売されるというニュースが入ってきました。

PeTommorrow 『猫の平均寿命を30歳に』世界初!猫の腎臓病特効薬とは?
https://petomorrow.jp/news_cat/93263

東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 分子病態医科学部門
http://tmlab.m.u-tokyo.ac.jp/staff.html

東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授が開発したAIMというタンパク質は、猫の腎臓にたまり腎不全を引き起こす老廃物を取り除く働きをしてくれる画期的な新薬です。

今までの腎不全の薬とは全く異なる経路での治療効果を期待することができ、実用化は2022年頃では、といわれていましたが、なんと2020~21年春には実用化のめどが立つそうです。

この薬を使うことができれば、なんと猫の平均寿命が14から15歳から、30歳ぐらいまで伸ばせるかもしれないそうです。

現在、慢性の腎臓病に悩む猫ちゃん達には本当に朗報で、発売が待ち遠しい薬です。

もちろん私にとってもそうなので、飼い主さん達にこのお話をするのですが、まだ若い猫達の飼い主さん達は喜ぶのと同時に、「え、三十年ですか…私の方が元気でいられるかしら…」と複雑な表情を浮かべる方が多いのです。

万が一の時のことを考える
万が一の時のことを考える

そう、三十年は長い。

人生の半分近くにあたる時間をすごして行くことを考えて、今、猫を飼うでしょうか?

30歳でかったなら60歳まで、

40歳でかったら70歳まで、

50歳でかったなら80様で、元気でいたいけれど、なにかあったら??

不安になって当然ですね。

ご家族やご親族がみてくれる、という方はよいのですが、核家族化が進んでいて、お子さん達の所ではペット不可だったり、アレルギーの問題で引き取れない、といった話しもよく聞きます。

また、そもそもそういったご親族がいらっしゃらない場合もあります。

一緒に暮らす自分に何かあったときに、愛する動物達をどうするのか、今自分も動物も元気な時に、一度考えて頂きたいのです。

現在、老犬、老猫を専門で預かり世話をしてくれるホームのようなサービスや、動物達と一緒に入ることができる介護施設なども数は少ないのですが存在します。

当然有料サービスになります。お金の問題は常につきまといます。

これは例ですが、十歳以上の小型犬で、一生預かってもらう場合、入居金が30万前後、プラス一年間の預かり料が65万前後、これは毎年更新が必要です。

猫の場合は、犬と同じ条件で、入居金が25万前後、一年預かり料が50万前後で毎年更新です。

ちなみにワクチンや予防代、医療費は別途かかるそうです。

どちらも返金はないそうですので、最低限これだけかかると考える必要があります。

高齢化と動物病院の仕事
高齢化と動物病院の仕事

また少し視点は異なりますが、ご高齢の方の場合、病院での説明を忘れられてしまうこともしばしば起こります。

この日、この時間にシャンプーの予約、と紙に書いてお渡ししてもすっかり忘れてしまわれて、全く異なる日に予約した、といらっしゃる場合もあります。

またこちらから連絡先を伺い、お電話しようとするとその電話番号が既に使われていなかったり、間違った住所や電話番号を伝えられてしまうこともあります。

来院されたあと、ご自宅への帰り道が分からなくなってしまったり。

医療機器をレンタルする際、専門業者さんと直接ご本人がやり取りして明日届けてもらうという契約をされ、帰り際なんども繰り返し「明日とどくから」、とおっしゃっていたのに、ご自宅に帰られた途端、「今日とどかない!おかしい!」と電話がかかってきたり。

特に日付の感覚は混同されることが多く、ご本人も気をつけていらして、メモしたり何度も口で確認したりしているのですが、病院は緊張する所のようで、お家に帰るとすっかり記憶から消えてしまったり、全く異なる日付で記憶されていたりするのです。

こちらとしてもメモをお渡ししたり、約束の前日にはお電話をしたりしているのですが、なかなか悩ましいことです。

こういったことは今後もより多くなっていくでしょう。

それに応じて、どういったことでサポートができるのか、病院としても考えていかなければな、と思います。

2019-06-20

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