2021年がもう一ヶ月終了してしまったという事実に衝撃を禁じえないですね。
いまだ緊急事態宣言中ですが、ワクチン接種の計画も段々明確になってきて、希望の光が見えたように感じますね。
動物達のワクチンも同じですが、開発にはとても時間がかかり、有効性が高く副作用が少ないものを開発するのはととても難しいものです。
それがこの短期間でできた事は、世界中の研究者の方々がどれだけ心血を注いで努力したのか、想像だけでも身震いするほどすごいなと思います。
早く安定供給の段階にまでなって、皆がこんな風に新型コロナウイルス感染症に怯えなくて済むようになりたいですね。
今回の件で多くの方々の環境が変わり、人としての物の見方や対応に大分変化が出てきたように思います。
家族の絆が強く結びついたり、仕事との向き合い方がかわったり、知人、友人達とのお付き合いが多様化したり。
今後は経済的困窮によって生活全般を見直さなければならない場合も多く想定され、動物達まで経済的な余裕をまわせなくなっていく、といった事も考えられます。
実際変異型新型コロナウイルス感染症の流行が蔓延しているイギリスでは、昨年のロックダウン中に購入したペット達の放棄、処分などが増えてきているのだとか。
懸念されていた事ではありますが、現実になって現れてくると、人間の身勝手さに胸が痛みます。
ブラジルや、アメリカ、イタリアなどの保険制度が充実していない諸外国のコロナ災禍では、医療は高額な買い物であり、保険加入をしていない場合はコロナウイルスに感染し発症しても、治療を受けられずそのまま亡くなるというケースが多く見られました。
アメリカなどで貧困層といわれる収入の低いコミュニティ地区で最初に感染爆発が起きたのも記憶にあたらしいと思います。
各国の死者数を見ていても分かる事だと思いますが、医療制度が整備され多くの病院がある豊かな国々では少なく、そうではない国ではとてつもない数の方が亡くなっています。
医療にはお金がかかるという事は、保険制度が手厚く整備された日本ではあまり実感する事がないかもしれません。ですがワクチン一本を注射するだけでもそれなりのお金がかかることは、今回のワクチンのための予算計上を見ても明らかです。
健康な間は意識をしない医療保険の話ですが、今一度確認する良い機会なのかもしれませんね。
動物達にも保険制度が充実してきて、体感としては私が就職した当時に比べ、飛躍的に加入される方が増えたように思います。
これはペットショップなどですでに加入した状態で売買されるようになったこと、ネット等により動物保険にに関する情報が手に入りやすくなった、ということが背景にありそうです。また動物保険を扱う会社の数も増えたこともあり、対応や保証の差はあれど、選択の幅が広がって入りやすくなりました。
ジャンボどうぶつ病院では、anicom(アニコム傷害保険株式会社)とipet(アイ・ペット損害保険株式会社)と提携しています。
こちら2社に関しては人と同じように保健証の提示で窓口精算ができます。その他の保険会社の場合はいったん自費精算をし、保険請求を飼い主さん自身にして頂いて、のちほど振込で返金がある形になります。
アニコムさんは一番始めに作られた動物保険の会社で、長年のノウハウがしっかりとある分、担当される社員の方も動物医療に造詣が深く、保証対象もきちんとされていて非常に使いやすい保険です。また一番多くの動物病院が提携しているので、窓口精算が当たり前のようになっている感覚があります。
保証金額が50%、70%と掛け金によって異なるプランがあって、それ以外に通院を除く入院・手術などの保証のみがついているタイプもありますのでご確認いただければと思います。
エキゾチックアニマルといわれる、うさぎやフェレットなども加入することができるプランもあります。最近こちらも加入されている方が増え、意識が高い飼い主さんが増えたんだなあとしみじみした気持ちになりました。エキゾチックは一時期募集を中止していたはずですが、再開されたのも納得です。
法律により、保険加入は直接お勧めできないのですが、パンフレットはご用意がありますので、まずそれを基準に他の会社のプランや対応を見てみて下さい。
細かな小さな文字で分かりづらく書いてある内容が、びっくりするような内容だったりしますので、どうかよく読んで下さいね。
実際、保険の使用感をお聞きすると、窓口精算が飼い主さんにとって一番簡便で楽だというのはよく聞きます。
また明細書に診断名等を記載して送るタイプもそこまで大変ではないようです。
面倒だという嘆きを聞くのは、診断書を獣医師が書き込むタイプで、この場合は診断書自体にも料金がかかるのと、すぐにご用意できないので診断書取得までに時間を必要とすることで、手間を感じられるようです。
他にも一つの病気に使用回数が決まっているタイプや、長期にわたる疾患に関しては保険会社側が勝手に保証対象外にできてしまうタイプ、振込は明細書送付から一週間以内とうたいながら、半年以上放置されたケースなど、様々な対応の会社がありますので、よくお調べになってからの加入をお勧めします。
先日も窓口精算をされている他の飼い主さんの様子をご覧になって、「こんなに楽な保険があるならそっちにすればよかったわ」と残念がっていらっしゃった飼い主さんがいらっしゃいました。年齢が十歳を超えているので、加入した当時は保険会社自体の情報が少なかったとのこと。
それに比べると比較検討が容易な現在は加入する方にとって恵まれた状況なんだなあと思いました。
「今まで健康で病気一つしたことがなかったから、そんなこと一度も考えたことなかった!」
「この機会に保険自体を見直してみようかしら?」
「え、どうぶつに保険ってあるんですね!」
「むかしに比べて入りやすくなったのねえ」
などの感想を持って頂けたらコラムに書いた甲斐がありました。
何度かリクエスト頂いていたのでまとめたのですが、病気が分かった時に保険はとても心強いもの。
大抵急に具合が悪くなったら、普通の飼い主さんはパニックで、いくらきちんとした説明を受けようともその半分以下しか心で受け止められない場合が多いです。
必死に命をつなぎ止めようとしているときには、いくらかかってもいい、助けて欲しい!と本気で思うのが人の性です。
ですが、いざ危機を乗り越えたら?
これからも継続的に治療が必要になるとしたら?
次に心配になるのは医療費のこと、通院にかかる時間、連れて行くマンパワーなどです。
ここへ来ると緊急時のアドレナリンは身を潜め、残酷ですが現実的な算段をして、その子にかけるコスト計算を計算しなければなりません。
実は、病気が分かった時よりもこの過程が苦しい飼い主さんは多いのです。
大切な動物にかける費用を渋っているように見えるのが恥ずかしい。
こういった事態を想定して用意をしていなかった自分を許せない。
こんなにかかるなんて知らなかった無知な自分が情けない。
そういった人にはなかなかいえない切ない感情が暴走し、ご家族の中でも揉めたり場合によって喧嘩になってしまうこともよく拝見します。病気というだけでも傷ついているのに、金銭問題というデリケートでいかんともしがたいことを前に、疑心暗鬼になったり攻撃的になり、トラブルを起こしてしまうのですね。
それは本当に当たり前のことで、珍しくありません。
かつて大学病院で、ホルモンの病気にかかってしまった犬の飼い主さんに、教授が使用するホルモン剤が高いので、治療にはとてもお金がかかってしまいます、と告げた際、その飼い主さんが「いくらでしょうか、一千万円までなら大丈夫です」とおっしゃったという伝説がありましたが、そういう方はごくごく一部です。
悩むのは普通のことで、それを誰かに相談したいと思う心情もごく普通のことです。
ただ、ここで大きな問題があります。
病態や状態は例え同じ疾患であっても誰一人同じではないのです。
また、病院で緊急に治療を受けた時点でのリスクや病態は、一旦よくなってからは推測できない物です。
また残酷ですが、経済状態や治療に望む姿勢も基本的に誰一人同じ人はいません。
ですから、どれだけ仲の良い親族だろうと、友人だろうと有識者だろうと、あなたが欲しい答えをくれる人はいません。
その方達はよかれと思ってアドバイスを親身にくれますが、その結果の責任まではとってくれません。
厳しいことですがご自身の苦しい心のうちと向き合い、現実と現状を受け止め、見当違いの誰かに八つ当たりしたり恨んだりするのではなく、自分自身を悔いるしかありません。
そしてせめて、後悔のない結論を出してください。
後悔にかられ、ご自身を長く責めていらっしゃる飼い主さんのお話を聞くことがよくあります。
そんな悲しいことが少しでも減ってくれるようにと願ってやみません。
保険制度はその一つの助けだと思っています。
経済的なことは、いいづらく悩ましいこと、だからこそ、保険がある!という心の支えは大きいです。
ぜひともこの機会に検討してみて下さいね。
写真は、先日寒い日に素敵なケープをまとって来院したスムースチワワのあちゃんです。見るからに暖かそうで、スタッフ一同、ほっこりした気分になりました。
2021-01-31
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