動物病院HOME < 院長のコラム < アレルギーとの付合い方
寒さが緩み、春の気配を身近に感じるようになりました。風は冷たいけれど日差しはやわらぎ、空気には沈丁花の香りが強くただよいます。
椿の蕾がみっしりと枝になっているのを見ては、花が開く日を待ちわびるのはこの時期の楽しみの一つでもありますね。
同時に本格化している花粉の飛散が、動物達にも影響を与えています。
明らかに時期を同じくして、耳の奥の痒みや、涙の量の増加、体の痒みなどが増えています。
冬の間、なんとかお薬を頼らずに頑張ってきた子達が、皆一様に急速に調子を崩しています。 とうとうやってきたね、と飼い主さん達と話している所です。
アレルギーは減感作療法などの積極的な治療をとらなければ、治るものではありません。
お薬で良化するのは一過性のことに過ぎず、飲まなければ時期によって必ず症状がでてきます。
皮膚病のコントロールが上手くいっているわんちゃんや猫ちゃんはこういったことをふまえ、症状がなくなってもケアやサプリメント、必要であれば最低限の薬を飲むことで、ステロイドや抗生剤など最小限しか使いたくないお薬を回避しているのです。
それでも季節になれば、花粉のような環境アレルゲンが増え、どうしてもお薬を使わざるを得なくなります。
それでも、
「でも去年より飲んでいるお薬が少ないんです!」
「三ヶ月もビタミン剤とケアで頑張りました!」
「今年はステロイド使わなくて済みました!」
というお話を聞くたびに、よかったなあと思います。
逆に、症状が一時的によくなったからといって、ケアもせず最低限のお薬も飲まないでいる場合、
「またかゆくなっちゃいました」
「お薬やめちゃったからですかね…」
「シャンプーをしばらくしなかったら湿疹がでちゃいました」
ということもよく聞きます。
コントロールをしていなければ、悪くなるのは避けられません。
またアレルギーの出方はその子、その子で違いますので、他の子のコントロール法がその子に合っているという保証はありません。
よく、初めて当院にいらっしゃる皮膚病で悩まれている飼い主さんで、アレルギーが治らないものであり、上手く付き合っていくものだということをご存じなく、「お薬を飲んでいるときはいいけどやめるとかゆい」「繰り返し症状がでる」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、とても残念なことだと思います。
それはごく当たり前のことだからです。
一方、お薬と、ケア、サプリに食事療法、減感作療法や環境の調整、病気への理解、そういったことを全てやったとしても、かゆいものはかゆい、というのがアレルギーです。
継続的に一年を通し、その子にどんな症状がどのタイミングででるのか、を見極めながら治療していく必要があります。
昨今、本当によく効くお薬が出来たので、ケースによっては使うとべらぼうに良化するのですが、それは根本的な治療薬ではなく、単なる痒み止めなので、当然継続して飲まなければ痒みがぶり返します。
そうと説明していても、「よくなったのに、なぜ飲まなければならないの?」という気持ちが根本にあると、ついついお薬を勝手にやめてしまいがちです。
そうするとしばらくするとまた痒みがでてきてしまい、あれ?治ったのにまたかゆい?治療が効いてないのかしら?という負の思考ループに入ってしまいます。
大切なことなので、もう一度書きますが、それは治ったのではなく、単に痒みを薬でコントロールしただけです。
ケアや食事療法、サプリなどを使っていなければ、お薬を飲むことをやめた時点で何の治療もしていないことになります。治療していなければ症状がぶり返すのは当然です。
アレルギーは基本的に治りませんし、痒みは実は程度の差こそあれ、一年中あるのです。ただ掻きむしるような症状や紅斑として表に出ないだけです。
ですから根気よく、上手に付き合っていくことが本当に大切です。
医学的に毎年新しい何らかのアプローチ法が考えられています。けっして諦めることなく、前向きに治療を続けて頂きたいと思います。
さて、すでにに一部の方には、はがきを送らせて頂きはじめていますが、三月から『春の健康診断キャンペーン』がスタートします。
一年のなかで一番低コストで血液検査が出来る時期です。
血液検査に関しては外注検査といって外の検査会社に依頼しますので、ご予約なしで大丈夫です。 そのほかの眼圧測定や尿検査、レントゲンや超音波検査など病院で行いますので、事前にご連絡頂ければと思います。
組み合わせによっては半日お預かりさせて頂いて検査を行う場合があります。この場合、予約制となりますのでご了承下さい。
このコラムで繰り返しお話しさせて頂いていますが、動物の時間は人間よりもっと早く流れています。一日が一週間くらいの勢いで体感しているものです。 ですから早期発見早期治療を願うのであれば、一年に一度の健康診断は非常に大切だと思います。
またその際には過去に行った血液検査の結果などをお持ち頂けると、データの診断に有効です。過去のデータに照らし合わせて初めて分かる異常もあるからです。
こういった健診を通し、全ての動物達が元気で長く健やかに生活できるように、手助けしていきたいと思います。
2017-02-28
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