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食べてはいけないものを食べたとき
食べてはいけないものを食べたとき

今年も残すところ、あとわずか。 寒さは日増しに厳しくなり、風も身を切るように冷たくなってきました。 戸外が寒くなるほど、おうちの中やお店の中はほっこりと温かく、 お、ちょっと寄ってみよう、と思ったり、 早く帰りたいなぁ、と思ったりして、おもわず、急ぎ足になってしまいますね。

もうすぐクリスマスに、年越し、お正月、と、 様々な行事が待っていますが、 この時期には、何を隠そう、異物の誤飲がとても多くなるのです。

異物とは
異物とは

異物とは、食べてはいけないもの、食べ物ではないものです。 大まかにあげると、「中毒を起こすもの」「毒性はないけれど、食べたもの自体が詰まって具合が悪くなるもの」「食べたものが消化管を傷つけてしまうもの」があります。

1中毒を起こすもの

中毒を起こすものの例中毒を起こすものは、みなさんがよくご存じの玉ねぎをはじめ、チョコレートや観葉植物、毒性のある木の実や、イカ、大量のブドウなどかなりたくさんあります。

また危険なのは、人間の薬を飲んでしまったり、 防虫剤や殺鼠剤など、薬品類を体に入れてしまうことです。 特に猫は代謝経路が人間とは異なっていますので、うまく代謝できず、非常に危険です。

2それ自体がつまってしまうもの

詰まってしまうものの例それ自体がつまってしまうものとしては、桃の種や、甘栗、硬いジャガイモの塊、しゃけとばの皮、ハムなどにかかっている網、靴ひも、おもちゃのかけら、ストッキング、バスタオルの縁の部分など、これまた千差万別です。

3それ自体が体を傷つけるもの

体を傷つけるものの例それ自体が体を傷つけるものは、 釣り針、縫い針、焼き鳥の串、カミソリ、など鋭利な物になります。

この具体的にあげた詰まった異物、やけに具体的だと思われた方、 そうです。 これはいままで、全部、実際に詰まり、手術で摘出した異物たちです。 もちろん種類としては、ほんの一部ですが、こういうものでも詰まるものです。

なぜ、この時期に多いのかとういと いつもと違うものが家にあり、いつもと違う食べ物が食卓に並んだりすることが多いからだと思います。 とかくクリスマスパーティーの翌日に 大量の鳥の骨を食べて運ばれてくる犬や クリスマスツリーのモールを食べてしまった猫など、冗談のような話ですが 多いのです。

もし異物を食べてしまったら
もし異物を食べてしまったら

どんなに気を付けていても、相手が動物である限り、異物の誤飲は起こる可能性があることです。
もしも食べてしまったら、どうすればいいのか、 万が一に備えて、記憶の片隅にとどめていただけたらと思います。

飲みそうになっているのを見つけたら、大きな声で怒らない

急に大きな声で怒られると、ごくりと飲んでしまうことが多いので、 おやつなどで呼んで、口にくわえたものを自分からはなさせた方が良いです。

のんでしまったら、自己判断をせずになるべく早く病院へ

個体差はありますが、飲んで2時間くらいは胃の中にまだある可能性があるので、 なるべくはやく吐かせる処置を行えば、口から出すことが出来るかもしれません。 飲んだものによっては吐かせること自体が危険な場合がありますので、 病院でご相談ください。

また、いらっしゃる前にお電話いただけると、準備ができますので、スムーズに処置に移ることが出来ます。

飲んだものと同じものか、破片、吐いたものなどがあれば持参を

飲んでしまったものがわかる場合、同じものや飲んだ後の破片、場合によっては吐いたものなども一緒に持ってきてください。実際に同じものを見れば、つまりそうなのか、レントゲンにどのようにうつるのかなど、 かなりの情報を得ることが出来ます。

むりにお家ではかせたりしない

安全な方法で催吐処置を行う必要がありますので、 無理にお家ではかせようとがんばらなくても大丈夫です。

病院に来ていただいてからは、飲んでしまったものにより、 レントゲン検査、血液検査、造影検査、内視鏡検査などが必要になる場合があります。

一番大切なのは「誤飲に気づくこと」
一番大切なのは「誤飲に気づくこと」

dog 以前働いていた病院で、なぜかわからないけれど一か月以上ご飯を食べない。 水を飲んでもはく、やせてきた、という主訴で、来院されたわんちゃんがいました。
ほんとうに骨と皮だけとういくらい痩せていて、見るからに苦しそうでした。

検査の結果、おなかに何か詰まっていることがわかり、 開腹手術をすることになりました。中はひどい有様でした。 詰まっていたのは、お歳暮など流通しているハムの周りにかかっている、タコ糸の中にゴムが入っているネットでした。 ネットはところどころ千切れて長く伸びており、 異物の中でも最もたちが悪い、ひも状異物という状態でした。

ひも状異物はその名の通り、ひものような長い異物で、これは桃の種のように一か所にスポンとはまるのではなく、腸管を長い範囲でまきこみ、アコーディオンの蛇腹のようにしてしまうので、 消化管を広範囲で傷つけ、痛めてしまいます。

こういう異物は取り出すことが出来たとしても、 傷ついて自ら治ることが出来なさそうな消化管を一緒に取り出さないといけなかったり、 そういう状態になるまでに時間がかかるものですから、 手術自体をするときにはすでに手遅れになっていたりと、 本当に恐ろしいものなのです。

とりだしたネットを飼い主さんに見せると、 それまで異物に心当たりがなかった飼い主さんが、あ!とおっしゃって、 一か月前に家で食べたもので、ごみ箱に捨てたものだということがわかりました。 その子は保護犬のこで、二か月前に家に来たばかりで、 きっと、外で食べものに苦労したのでしょう。 すごくがっつく子だったのだそうです。

残念なことに、異物を食べたこと自体に気が付けないことも多いのです。 けれど、食べてしまったことよりも、 食べたことに気が付けない方がずっと、大変なことになる場合が多いものです。

自分を責めないで! 落ち着いて病院へ
自分を責めないで! 落ち着いて病院へ

異物を飲んでしまったとき、 誰でも動揺して自分を責めて、本当にいたたまれない気持ちで病院に来ることになります。

でも、どんなに気を付けていても起こりうるのが誤飲なのです。 だって誤って飲むのですから、飲みたくて飲むわけではないのです。

一番大切なことは、異物を飲んでしまったことに気づくことです。
ですから、あまりご家族や自分を責めず、 なるべく早く病院にいらしてください。

今年はジャンボどうぶつ病院の開院というおおきな目標がかなった年でもあり、 その準備に明け暮れた一年でもありました。
獣医を志した時から願っていた、いつか、という夢が 多くの方々に支えられて、ようやく形を得ることができ、 こうしてその夢の現場で、日々働くことが出来ることは 本当に奇跡のようなことです。
私にできることは、初心を忘れずに、 少しでも多くの動物たちと飼い主さんの気持ちに沿って 不安や苦痛を取り除くお手伝いをすることだと、 思っています。

とてもうれしいことに、このコラムを読みました、ホームページをよんで、病院に来てみようと思いました、といったお話を伺うことが増えてきました。
つたない文章ですが、読んでいただけて、感想がいただけるのは びっくりするくらいうれしくて、勇気づけられることです。 本当にありがとうございます。

このホームページを作ってくれているのは 中学からの同級生で、彼女がジャンボどうぶつ病院のロゴも考えてくれました。 機械関係にうとい私をサポートして このホームページを作ってくれる、心強いジャンボどうぶつ病院の一員です。

これからも皆様の動物たちとの幸せな生活に 少しでも役に立つような、ジャンボどうぶつ病院がこんなところだとわかってもらえるようなホームページを創っていきたいと思います。

2013-12-15

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