動物病院HOME < 院長のコラム < 2015年を振り返って
とうとう2015年も終わりますね。今年一年も様々な事がありましたが、無事に新年を迎える事が出来そうです。
春夏秋冬があるはずのこの国で、なぜかそれを実感する暇もなく時が流れていくのは、充実しているという事なのでしょう。 実際季節を感じるのはこうしてコラムを書いている時くらいのもので、それ以外はいつの間にか周りの衣替えにはっとさせられ、あわてて洋服を引っ張りだす始末。
もう少し情緒を楽しむ生活を送りたいと願いながら、取りあえず今夜の見回りに備えて昼に少しでも休息を取らなければ!と言う気持ちが先んじます。 季節を愛で、花や木々の様子に心を揺らす生活は何時になったら手に入るのかなあ、と時々思っています。
最近、このコラムを読んで下さっている方から、読んでますよ!と教えて頂く事が何度かあり、嬉しく思っています。月二回の更新ですが、私も楽しんで書かせて頂いております。 文章を書く事は、辛い事ではなくむしろ私に取っては楽しみであってストレス解消のようにも思います。
人は話す事と文章にする事で相手に自分の気持ちを伝える生き物です。 現在、インターネットが普及し、SNSが地球上の情報の距離をほぼゼロ距離に縮めてくれました。 とても便利な事ですし、待ちわびた技術だと思います。
けれど、心までは、文字にした分きっちり伝わるものでもないのではないでしょうか。 また声を届ける電話や映像とともに通話が可能なスカイプなどもありますが、こちらも直接会ってお話しする事以上の情報量を届けあう事は出来ないように感じます。
診察に関して、気をつけなければ、と思うのは、お忙しい方ならその分、直接のお話をする時間がなかなか取れないことです。 電話でもお手紙でも、実際にお話して説明する以上の助けにはなってくれません。 顔が見えない分、互いの解釈がすれ違い、齟齬が生まれる事もあります。 用いる言葉の選び方は非常に難しいのです。
例えば、「できない」と「しない」では、全くニュアンスが違います。
英語で考えてみるとより明瞭で、「can't」と「don't」では、音も意味も全く異なります。
面と向かってお話しした場合であれば、その場で前後の状況をお互いに詳しく聞く事も出来るでしょうし、またそこでの表情や声色を感じて、
たとえその意味を同じように使っているとしても気がつく事が出来るかもしれません。
対してこれが電話だと、表情などの情報量が無い分、自然と言葉の選び方に気をつけて聞きますし、話すため、
「しない」のは能動的に自らの意思でしないこと、「出来ない」のはしようとしてもできないことだと、無意識に判断しがちです。
誠に言葉というのは難しいもの。大切な話、重要な話であればある程、直接面と向かってお話しする機会を作るべきだ、という事を実感しています。
よく、言った言わないは水掛け論だ、という話になります。防止するには録音機能でも行使しなければならないでしょうか。
けれど、本当であればお互いに互いの心に耳を澄ませて、意志を通じさせようとすれば、その前の段階でお互いの意見を共有できるはずなのです。 それを人間は太古の昔から辛抱強く続けて文化を形づくってしてきたのですから。
これは診察だけの事ではなく、家庭やそれぞれのお仕事、親子や友人などでも同じ事だと思います。 人間はコミュニケーションを取らねば生きていけません。それは自分の主張を通すという事ではなく、相手の主張にも耳を傾け、互いに共有し、より良い知恵を生み出す文明の根幹なのです。
また、当事者同士の事情は当事者にしか分からないということ、間接的にもたらされた情報は事実だけでなく話者の意見が入りがちで、正確とは限らないことにも注意しなければなりません。 情報の流通が激しい分、流れてくる情報の波に飲まれて右往左往する現象が、世間一般としてもよく見られます。 これがインターネットの普及によって引き起こされた一番のデメリットではないかと思います。
本来的に、賛成反対双方の意見をフラットな状態で聞かなければ、意見を形づくることは難しいでしょう。 偏った意見にだけ、自分にとって聞き触りの良い言葉にだけ、耳を傾け続ければ、途方もなくずれた考えを信じかねません。
そういった情報の正否も、今は自分の力で判断しなければならない、難しい時代だと思います。
偉そうな事を書きましたが、個人的にそれが及第点まで出来ているとは思えず、来年の目標は今以上に細やかなコミュニケーションを心がけたいなあ、と自戒する年末なのでした。
やってくる年が、皆様に取って素晴らしいものになりますように。 どうぞ2016年もジャンボどうぶつ病院を宜しくお願いします。
2015-12-29
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