院長のコラム

動物病院HOME < 院長のコラム < 不調な時は早めの来院を!

不調な時は早めの来院を
不調な時は早めの来院を

酷暑きわまる夏によって、人だけではなく多くの動物たちが体調を崩しています。

七月後半に入りそう感じることが残念ながら非常に増加してきました。

通常、二、三日前から食欲がおちた、今朝から水も飲まないといって来院される場合、獣医師としては「あ、普通に来てくれた方だな」と思います。

このくらいの期間であれば元気な子の場合、自己回復するケースも少なくなく、様子をみるという点では良い期間だからです。

中には二週間以上、ときには一か月以上そういった症状が続いてから来院されるケースもありますので、寧ろ早い方かもしれません。

もちろん、クーラーをつけ忘れてしまって帰ってきたらぐったりしていたや、異物を飲み込んでしまった、階段から落下してしまった、などの事故に近い状況の場合、この二、三日は致命的な時間ロスになり致死性が高まりますので、一刻も早く連れてきていただきたいと思います。

子猫は年2回、成猫は年1回のワクチン接種を忘れずに
子猫は年2回、成猫は年1回のワクチン接種を忘れずに

ただこの夏は、その二、三日なら様子をみても大丈夫というのが目安にならず、そのくらい短い時間であっても、平気で重度の脱水症状を起こしていたり、腎不全になっていたりする動物たちが後を絶ちません。

性別、種別に関わらず、中には若い個体にも発生していることから、猛暑の影響はないとはいえません。

現在多くのお家ではクーラーなどの冷房を常時付けて対応して頂いていますが、適温に管理されているために飲水量が少なくなります。また空調によって乾燥した状態のため、知らずに脱水していることが多いのです。

特にシニア以上の動物たちの症状は顕著で、持病などがある場合、悪化により命を落とすケースも少なくありません。

加えて若い個体であっても、来院されるタイミングが遅ければ、重症化することは避けられません。

手遅れにならないために
手遅れにならないために

最近多いのは、異常事態に気がつかず、様子を見ているうちに手遅れになるケースです。

病気やケガ以外で普段から病院に定期的に来院されている方は少ないのですが、一年に一度の検診やワクチンもせず、めったに病院に来ていない動物たちの場合、飼い主さん達も今どういった病気が多くなっているのか、そういった症状が問題なのか、どのタイミングで来院すればいいのか、をつかみ損ねている事が多いのです。

結果的に久しぶりに来院して、そのまま入院になったり、ひどいケースでは亡くなることもあります。

動物病院というのは受動的な立場です。病院のほうから歩いて行って各家のインターフォンを鳴らし、飼われている動物たちのおかげん、いかがですか?と聞く事は出来ません。

適切なタイミングで病院へ来ていただかなければ、どれだけ知識や技術があろうと、助けることができませんから、時として非常に歯がゆい思いをすることがあります。

人と異なり、動物たちは不調を訴えることができません。本当に瑣末な変化でしか異常を伝えることができないのです。それをくみ取ることができるかどうかは、全て飼い主様に掛っています。

そしてその変化を正しく理解するためには、常日頃からからきちんとエビデンスがある正確な情報を、定期的にアップデートしなければなりません。

PCのソフトのように、またアプリのように、一度ダウンロードすれば毎回更新のお知らせがくるものではありません。自分から学ばなければ、得ることはできません。

また数年前の知識が場合によってはあっという間に古くなるのが、医学の世界です。毎年のように新薬が開発され、新たな薬が市場に出ています。

ですから定期的な通院は、その知識を補完し充実させるものであるといえます。

診察で分かること
診察で分かること

たとえば、やたらに氷などを食べる、コンクリートなどの床をなめる、という行動は貧血の指標になります。

中空の一点を見つめぼんやりするしぐさは、発作であることもあります。

猫が口を開いて呼吸しているときは、肺が駄目になっているかもしれません。

そういった日常的にある行動の中で、これが異常な行動であるということを、診察の時に飼い主様に伺うお話の中からくみとって見つけ出すのが獣医師の仕事です。

ですがこういったことも来院していただかない限りは決してできないことです。

時に電話で症状について問い合わせをされる方もいますが、患者さんである動物を診もせずに診断を下そうとすること自体が誤りだと思いますので、来院していただくようにお話ししています。

言葉を話すことができない動物たちだからこそ、その代弁者となる飼い主さんには、状況の判断を誤ってほしくないと思います。

猫がネズミをとったお話
猫がネズミをとったお話

さて今月の一枚は、白い日本猫、たけちゃんです。

たけちゃんは地域のボス的な猫ちゃんだったそうです。診察室でも堂々として全く無駄に威嚇したり鳴いたりもしません。鷹揚に構え本当にいやなことをされた時だけ、そっと顔をそむけるその姿は、本当に立派で堂々たるものです。

そのたけちゃん、少し調子が悪く食欲が低下していた時のことでした。

お家でなかなかネズミ取りに掛らない賢いネズミが出没し、ご家族は大変困っていたのだとか。

ある夜飼い主さんが部屋に入ると、たけちゃんが座っていてその目の前には件のネズミが!

そうです、たけちゃんは家族のためにネズミをとってくれたのです。

現在、都心で飼育されている猫は、飽食なためネズミを食べたりはしません。狩ることもあまりしない子が多く、ただ眺めていたり興味がなかったりします。基本的には親猫が狩りをおしえるのですが、ペットショップの猫などは親元から早く離されてしまうので、習っていない場合も多いのです。

恥ずかしながらネズミをとる猫に会ったのは初めてです。

しかも自分の体調を押して、家族のために狩るとは!なんと勇ましく雄々しい猫なのでしょうか。思わず写真を撮らせていただきました。

診察台の上では決してそんな荒ぶる様子を見せないその姿こそ、真に強く賢い猫なのだな、と尊敬の念を持って首を撫でたのでした。

2018-08-03

院長のコラム トップ

「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。

「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。

tel03-3809-1120

9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診

東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します