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上手にお薬を飲ませるには
上手にお薬を飲ませるには

一雨ごとに、寒さが厳しくなりますね。 秋が深まって、冬の気配がそこまで来ているのを感じます。

動物たちの冬支度、ということでは換毛(毛が抜け替わること)がありますが、常春の環境で飼われている動物たちはなかなかそれがスムーズにいかないことがあります。

また、乾燥が酷くバリア機能が低下していて、肌荒れがおこることもおおいので、化粧水や美容液などで保湿ケアを心がけましょう。

さて今回は投薬について。
みなさん、投薬では大抵苦労されていますよね。 薬の形状を変えるだけで、あげやすくなる場合がありますので、まずお薬のタイプを見てみましょう。

(1)錠剤(玉のお薬)
(2)カプセル(中に液体が入っているようなもの)
(3)粉末(粉のお薬)
(4)液体(シロップのお薬)

錠剤のものは粉にすることもできますが、苦みが出たり、そもそも粉には出来ないものもありますので、病院ではどちらがいいですかとお聞きしています。

錠剤、カプセルの飲ませ方
錠剤、カプセルの飲ませ方

お薬のままで飲ませる方法

錠剤の場合、口を開けて喉の奥にいれ、口を閉じて鼻に息を吹きかけると、息が詰まってぐっと飲み込めます。
犬も猫も、首をぐっとのけぞらせ下顎だけを下げると簡単に開きます。

お菓子やお肉など他の食べ物で包んであげる方法

またごく少量の好きなお菓子やお肉やらに包んで、ご飯の前のお腹の空いているときにあげてしまう方法も良く使います。

パンに包んであげています、という声もよく聞きますが同じくらい、パンだけ食べて薬のみ吐き出してます!というお話も聞きます。パンでも極小さくして固めてしまうか、例えば中にクリームのようなものが塗ってあって、お薬が貼り付くようになっているとよいのかもしれません。

上げても大丈夫ですか?とよく聞かれるのですが、極々少量であれば構いませんとお伝えしています。お薬が飲めないことのほうが、その場合問題だったりしますので。

最近では、お薬を中に隠すことができるとても美味しい犬猫用の投薬補助トリーツがあり、多くの方に使っていだだいています。

これは、日常的に食べることができるお菓子でありながら、 粘土のように柔らかく、形状を変えることができ、 もともと薬を入れる様のくぼみも開いていて、そこに錠剤や粉を入れて、お団子のように丸めると、そのまま食べてくれる、というものです。

これが、意外にもと言っては申し訳ないのですが、とても嗜好性がよく、リピート率が高いので、もしお薬を上げることに困っているようでしたら、ぜひ、試していただきたいアイテムです。

カプセルのものは、砕くことなどができません。
粉が閉じ込められているものでしたら、開けて使用することもできますが、中身が液体の場合はなかなか難しいので、やはり、何かにくるんで食べさせるほうがよいでしょう。

粉薬、シロップ剤の飲ませ方
粉薬、シロップ剤の飲ませ方

粉薬

粉をご飯にかけて与える場合は、全体に降りかけるのではなく、ごく少ないウェットフードにまぜて与えるほうがいいです。

または、はちみつやガムシロップのように粘稠性の高いものを極々少量使用して、粉と混ぜて練り、唇を上げた歯肉の部分に塗りつけると、べたべたしているので吐き戻せず、なめてしまう、という習性を利用した方法もおすすめです。

この粘稠性の高いものとして、はちみつ以外にも、犬猫専用のもので、こういった投薬に使えるサプリメントもあります。

粉薬を水などにといて、注射器で上げる方法もありますが、液体の量が多いと吐き出してしまったり、泡で出したりというお話もよく聞きますので、個人的には唇をめくらせてくれる子でしたら、粘稠性の高いものを使用するほうが、楽ではないかと思っています。

シロップ剤

シロップ剤の場合、元から飲みやすいように甘くしてあるので、少しずつ注射器で口に入れていくとスムーズに飲んでくれることが多いです。

一気に押し出すと誤嚥(むせる、気管にへ入ってしまう)につながりますので、ちょろちょろ、と言った具合に口の横の方からそっと、注射器の先を入れて、あげてみてください。

お薬を上手に飲ませるコツ
お薬を上手に飲ませるコツ

うちの子はご飯にお薬を混ぜるとすぐ食べます、という大変よい子もごくたまにいるのですが、一般的にはご飯全体にに混ぜてしまうとご飯自体を食べないことも多いので、個性を見極めて、あげていただきたいと思っています。

ここまでに書いてきた方法はごく一般的に投薬として行われているものです。

お薬を飲めない、というお話は、実は本当によく聞きます。 とはいえ、大抵はあげ方を間違えていたり、知らなかったりという場合が多いです。

また、お薬をあげたら吐いてしまった、というのもよく聞きますが、吐きやすいとされているお薬の場合以外は、お薬の苦味やその匂いだけで違和感を感じて、吐き出していることが多いようです。

何かに混ぜてあげる場合は、「混ぜるものはごく少量に」して頂く、ということが案外大切なのではないかと思います。

また、甘いものなどや美味しいものなどで薬の味や匂いをごまかせるものがよいですね。
めったに食べられないものなどだと、喜んで食べてくれることが多いです。

それでも、お薬が飲めない場合は、抗生剤の場合、いまは2週間効果が持続する注射薬があります。
場合によりそちらを使うこともできますが、 心臓のお薬など注射薬では対応できないものもありますので、残念ながら万能な方法ではありません。

薬の使い方にもご注意ください
薬の使い方にもご注意ください

基本的に処方したお薬は、指示がない場合は、飲みきっていただくようにお願いしています。

時々、以前処方されたお薬を、同じ症状だからという理由で、飲ませてから来院される方がいらっしゃいますが、 常備薬の整腸剤などなら問題にならなくても、飲ませたお薬の種類によっては、頓服(症状があるときだけに飲む服用方法)には適さないものもありますので、 なるべく避けていただいたほうがよいと思います。

また飲ませたお薬がお手元にあるようでしたら、一緒に持ってきていただくと、何をどのくらい飲んだかの判断ができる場合もありますので、とても助かります。

治療が必要な時、お家でできることは投薬、になる場合が多いです。
お薬を飲んでくれない、というのは本当に切実な問題ですので、今回のコラムで取り上げた方法をぜひ、試していただきたいと思います。

2014-11-30

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