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衝撃の米国研修(後編)
衝撃の米国研修(後編)

さて、前編では獣医療に関するお話をさせていただきましたが、後編は、文化的な面で驚いたエピソードなどをご紹介します。

と一口にいっても、様々な衝撃の体験がありましたが、 まず大学の規模の違いが圧倒的でした。

ペンシルバニア大学は、大学の中に町がひとつあるという規模の広大な敷地に複数の学部が点在していています。 私たち実習生はその中に複数ある、生徒が寄宿するドミトリーといわれる寄宿舎に泊まりました。

ガードマンが24時間入り口に立ち、カードキーで入り口のゲートを開けて中に入るシステムで、 おお、やはり治安の問題があるんだ、とのんきに思ったものです。 実際、人種は混在していました。とはいえ、格好もずっとスクラブ(医療用の上衣)だったために、口さえ開かずにいれば観光客とは思われなかったので、 あまり危険だとは思っていませんでした。

道で学内の生協で買い物をして一人、ふらふら道を歩いていたら、 めちゃくちゃかっこいい黒オープンカーに乗った黒人のお姉さんに、 道路横に車を横付けされて、 「ねえ!!ウォールナッツストリートはどこなの?!!」と急に聞かれて、 もの凄くびっくりしたこともありました。

まるで、海外ドラマのワンシーンのようだ、とテンパる心と裏腹に、 冷静に思っていたのが記憶に残っています。

幸い、つたない説明でお姉さんはわかってくださって、サンキュー!!と叫びながら車を発進させ去っていきました。

先生と学生の距離
先生と学生の距離

もう一つ、印象的だったのは、 先生と生徒の距離が非常に近かったことです。

学生の人数自体が少ないこともありましたが、 指導する側の教員と、学生の連絡は密で、非常にフランクで、 どんな小さな質問もまるで友達のような距離と近さで、やり取りしていました。

一度など、処置室で、足を伸ばして座っている先生の上に、 重ねて足を挙げて、(両方女性) 私の手首まで入りそうなサーモマグにコーヒーをいっぱい入れて、 手のひらくらいあるチョコチップクッキー(このコーヒーとクッキーは誰でも食べられるように、食堂に完備されてます。もちろん、一枚食べるだけで、むねやけ必須ですが)をむしゃむしゃ食べながら、 症例について話していたのを見て、ひええええっとおののきました。

日本で先生に質問するとしたらあり得ない状況ですから。
でも、アメリカの先生方は、本当に惜しみなく知識を与えてくれようとしてくれ、 みて盗め、という精神が根強い日本とはまた違うんだなと思いました。

どちらがいいとは一概にいえませんけれど、 どちらも良いところがあると思います。

学食でびっくり
学食でびっくり

昼食は、学食にあたるところで調達していましたが、 何もかもが大きい!!
私の身長は160センチないので、 カウンターに並ぶと顔が半分くらいしか出ません。

おちゃめなおじさんが、毎回何にする?と聞いてくれて、メニューの説明もしてくれるのですが、 その中でサラダチキンというのがお気に入りになりました。

ティッシュケースを二個重ねたくらいの、 大きなプラスチックパックにはみ出るくらいの野菜と、 もの凄く大きいグリルチキンがどばっとはいっているものです。

わたしてくれるとき、おじさんはいつも、これでたりるのか!?とからかってくれました。

フィラデルフィアはジャンクフードが非常に多くて、 日本のような、ヘルシーフードは何もありませんでした。

夕ご飯と朝ご飯は自炊だったのですが、なんだか良くわからない食べ物を食べていました。
でも一緒にいった研修のメンバーと、王冠が手で外せるビール片手に、 みんなでなんやかんやいって作ったご飯を食べながら、 将来の夢や、アメリカでの経験や日本でのことなどを話したあの時間は、 思えばどれだけ貴重な時間だったでしょう。 今となっては、まるで幻のように楽しかった思い出です。

初心を忘れずに
初心を忘れずに

あのとき研修にいったメンバーは、 それぞれ、臨床医としてがんばって働いていると聞きます。

専門医になったり、病院を開いたり、海外に渡ったり、 学生だった頃の夢は息づいて、一人の臨床家となった今も、胸に残っているんだろうなあと思います。

日本でも、アメリカでも、きっとヨーロッパでも、 獣医師として少しでも現状を良くしよう、もっといい方法を見つけよう、とはみんなが思っていることです。

なかにワールドコモンセンスという、世界共通認識があり、避妊虚勢手術の推進やワクチン接種の喚起などがあります。 またその国特有の病気や習慣がある限り、やはりオーダーメードの考え方が必要な場面もあります。

臨床医として日々どうぶつたちの診療にあたり、日々進化する獣医療の情報にふれながらも、 こうでなきゃだめだ、ではなく、こういう方法はどうだろうという柔軟な考えでいたいと願っています。 そう、それこそあの大学生の夏のように。

2014-05-31

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