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皮膚疾患と地道な努力
皮膚疾患と地道な努力

大分梅雨の季節の気配が漂って参りました。

蒸し蒸しと上がる湿度に、外耳炎が増える時期ですね。 耳毛の長いトイ・プードルやシュナウザー、シーズーなどの犬種の子達は、一気に上がる湿度と気温につられて、驚くべき早さで症状が出る場合があります。

どうか、本格的な梅雨の前にケアをする事をお勧めします。

またこの毛ののびる早さにはかなり個体差があります。 月に一度のトリミングでは追いつかない事もありますので、時々耳をひっくりがえして見てみて下さいね。もし伸びているようでしたら、処置にいらして下さい。

耳や手先などは急所ですからあまりいじられるのが好きな場所ではありません。ですからお家でのケアが難しい場合は病院でさせて頂きますので、遠慮なくおしゃって下さいね。

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さて、例年この時期には皮膚病が悪化してお薬をフルコースで使う動物達が多くなるのですが、今年、顕著になってきた事があります。

ジャンボどうぶつ病院は今年で四年目になりますが、開業当時に皮膚が悪くてかかった動物達が、ちょうど治療を開始して三年程になります。

カルテを見返すと明らかに去年、一昨年に競べ、使用している薬の量や種類が減っているのです。

「今年は随分調子がいいですね?」

という会話をする事もしばしば。

最低限のサプリメントや皮膚のケアで随分とコントロールできているのを見るたび、感無量になります。 あれだけ皮膚が固くなり脱毛し、赤みや痒みもあって診察中にひっきりなしに掻いていた子が!こんなに!ふさふさに!とおもっては、よかったねえと涙が滲みそうになります、いえ誇張でなく、本当に皮膚病は治療が難しいのです。

hr

命に関わらないけれども、管理は一生ですし、お付き合いをし続けなければ、日常生活が酷く侵害されるものです。

痒みというのはとても強いストレスです。また外貌が悪くなると飼い主様自体も見るたびに切ない思いをする事になります。

季節依存度が高い場合もありますが、通年で管理が必要である場合が多いです。 今回、改善が見えた子達は、みな本当に酷くて一年中何らかのケアをしてきた子達です。

逆に言うと、そういった継続した皮膚へのアプローチがようやく実を結んだ結果だと思います。 お薬を調整し、ケアをまめに行い、フードやサプリ、シャンプーや美容液、化粧水と言った細々したものを地道に使い続け、ようやっとここまで来たんだなあ。それでもやはり、三年はかかるんだなあと、しみじみ思いました。

骨折や切り傷の様な外傷は、その時に集中し治療すれば、完治という事ができます。

けれど免疫を含めた問題がある場合、敵は外から来た外力や感染ではなく、自分自身です。
という事は生涯ともにお付き合いする病気なのです。

症状がでた時だけ、薬で対応するのでも間に合う子いますが、本当に強い症状がでた場合は、継続して付き合い方を調整する方が良いと思います。

病気への理解を深め、地道にこつこつと治療を続けて下さった飼い主様達のおかげで、ようやく皮膚を良いコンディションで維持する事が出来るようになってきました。

hr

そして待望のステロイドに匹敵する痒み止めが、六月上旬に販売が開始されます。

完全な新薬ですので、新たなステージが見えてきました。

上手くいけば、ステロイドを使わなくてもコントロールが出来るかも?と期待をしております。

梅雨は例年、皮膚の病気を持つ子達にとっては憂鬱な季節ですが、今年は希望を持って望む事が出来そうです。

2016-05-31

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